「じゃあ尼崎サン、頼んだ。」
結局、しがない一市民でしかない私は、絶対的支配者である霧島くんには敵わないのだ。
気づけば、「…うん。」霧島くんの"命令"とやらに、こくんと首を縦に振っていた。
まるでそうすることが当然であるというように。
そうするように、最初からインプットされていたかのように。
─…抗ってやろう、なんて。
たしかに思っていたはずなのに、いつの間にか胸中には跡形もなく消え失せせていた。
なんの余韻もないことが、妙に不思議に思えた。
今は、自然とそのようなことは思わなかった。
なんでだろう。
やっぱり霧島くんが怖いから、なのかなあ。
…あのひとは、私の秘密を知っているから。

