勿論、恥ずかしいっていう気持ちもあった。
だけども、次になにをされるかわからない。
霧島くんがなにを考えているかわからない。
そういった思いとが心のなかで綯い交ぜになって、ぐるぐると目が回る心地だった。
もはや私の平凡顔は、真っ赤や真っ青を通り越して、紫に見えるんではないだろうか。
(うわ、)(顔面紫の女とかきもちわる…。)
「ねえ、尼崎サン。」
呼ぶ、声は低く甘く。
舌先に、さっき食べたビターチョコレートの味が蘇った。
…チョコ。
そうだ、霧島くんはチョコみたいだ。
赤っぽい茶色の髪も、その声も。
甘美なようで、近づけばピリリとした苦味が伴う。

