――ピンポーン
「はーい」
ガチャ……
「あら、紀理くん、どうしたの?」
昔と変わらない、優しい表情。
シワが増えても 明るい笑顔は健在だ。
「ちょっと、おばさんに聞きたいことあるんだけど…」
「聞きたいこと? もしかして、亜美のこと?」
「…はい」
何も言わなくても、やっぱり気にかけてたのかも しれない。
「どーぞ、入って!」
「すいません…」
俺はリビングへと案内してもらった。
「それにしても、かっこよくなったわねぇ 紀理くん!」
「ははは、ありがとうございます」
そこは引かない俺。
だってかっこよくなったもん。
「亜美も、もっと女らしく可愛くなってたら良かったのにね」
「全然、今でも十分 可愛かったですよ」
「ふふふ、敬語なんていいのに。息子みたいなもんなんだから」
「じゃあ お言葉に甘えて」
自信でも違和感はあった。
俺も、他人って感じがしないな。
「それで……亜美がああなったのって、どうして?」
とりあえず、本題だ。
「わたしが聞いてるのは…
亜美が、仲の良かった友達に裏切られたらしいの」
おばさんは少し言いづらそうに言った。
「え…」
「高校 入ってからしばらくしてから。 亜美、すごく落ち込んでて、学校も行きたがらなかった」
「亜美が…?裏切られたって…」
今すぐにでも、そいつに会って痛い目見させてやりてえ…。
「それで、柄の悪い子たちとつるむようになったの。
こっちのが楽だって」
「…だからか……」

