「…じゃ。306号室の咲坂サン。」 こいつのせいで、今の自分の目的 忘れるとこだった。 「え、ちょ…どこ行くんだよ?」 「はあ? 関係ねぇじゃん。」 なんで引き止めようと すんの? 「ま…そか。わりぃ。」 とっさにに掴んだあたしの手を放した。 「……あたしに関わんな…。」 「は?」 そう小さく呟いて、足早に階段へと向かった。 「……どーゆう事だよ、亜美…。」 そう言った彼の声は、聞こえるはずがなかった。