「はめられたみたいだよ。
俺達。」
「えっ???」
「ほら。」
立ち止まる足。
繋がったままの手。
彼方以外の男の人と手繋いだ
事あったっけ。
桜井君から伝わる手のぬくもりが
なぜか嫌じゃなかった。
桜井君が携帯のメールを、わたし
に見せてくれる。
「ゴメン。行けなくなった。
ふたりで楽しんできて。」
それは、近藤君からで。
「はぁ~!!!!」
「おかしいって思ったんだよ
な。お前持ってろってチケット
押し付けるし。」
「わたし、何も聞いてない。」
「聞いてたらこないでしょう。」
「・・・・・・・・・。」
「だからだと思うよ。あいつら
なりのお節介。」
「でも・・・。」
「留衣ちゃん、心配してたよ。
光田のこと。実際この頃光田の
笑ってる所見て無かったし。」
桜井君が髪をかきあげる。
照れてるの?
こんな一面もあるんだってホッと
する。
「そんなに、笑ってなかった?
自分では普通のしてるつもりだっ
たのに。」
「自分じゃ気付かない事って
あると思うよ。いい友達じゃん。
留衣ちゃんって。」
「うん。」
「あいつらの計画に今回は乗っ
てやろう。」
「あっうん。」
「行くよ。」
そう言ってまたわたしの手を
引っ張って一歩前を歩き出す。



