小さな芽は少し大きくなり


少しずつ、確実に成長していた。


あの時が蘇ってきた

「はい、柿むいたよ(笑)」


「ママ!種あった?」

「あったよ。なんで?」


「明日あの公園に埋めに行こうよ!」


「はいはい(笑)」


「埋めたら柿の木が出来るんでしょ?それなら、毎日お水あげにいこ!」


ふふ…


それから、休みの度にこの公園に連れて来させられたっけ…

「あの頃はたくさん笑ってたね…」


毎週のように、千夏や由衣は私に会いに来てくれてた


「出所決まったら、必ず教えてね」


「ありがと」


「次来るときに差し入れ持ってくるよ。何がいい?」


「大丈夫…それよりも…もう、私なんかの所には来ない方がいいよ」


「また、綾のイジケ虫が始まった」


「もう直ぐ綾の誕生日だね…。」


「もう、42だよ」


「何いってんの!また、伝説作らなきゃね」


クス…


「千夏は相変わらずだね」


だけど、今日の日を私は誰にも伝えなかった。


そのまま何日も何日もこの場所に居続けて


いつしか、近所では浮浪者扱いになってた


子供たちが集まる公園に必ず顔を出した

「あーまた来た!コジキだ!ばい菌」


「あっちいけー!」