「だから、自分達で少しはなんとかしようよ」


「…」


こうして、チェーン店に加盟するために準備を始めた。


幸い、立地条件のいい場所が見つかったけど


規定で店から2キロ以内に住まないといけない…


「ここって…思い切り都会じゃん…。暮らして行けるの?」


「探すしかないよな



毎日、インターネットや休みの日には地元の不動産を回って家族で暮らす部屋を探した。


どこも、希望の間取りだと希望の予算では見つからない


それでも、店のオープンや一週間の研修がどんどん迫ってた。


勤めていた事務所を辞め


彼と2人で店を始める


不安と期待が入り混じった気持ち


有る意味もう一度やり直す為には良かった選択だと思った。

4年目の夏にある日突然電話が来た。


「綾さん?悟史の姉です」


「お姉さん!お久しぶりです!変わりないですか?」


「それが…」


お姉さんの鬱うつ病は良くなってるようだけど


その代わり今度はアルコール依存症になってしまったそう


結局、銀行へは復帰出来ず


会社から毎月振り込まれるわずかな収入と今までの貯金を切り崩してきたらしい

「悟史とは?」


「何も…」


「そうなんだ…ごめんね…」