ある日石井さんから電話が来た


「条件通りに用意出来たぞ。約束通り離婚届けにサインしろ」


「しろ?して下さいじゃないの?」


「して下さい」


「いいよ、どこで会う?」


「市役所の前で待ってる」


書いたら直ぐ提出したいんだ


待ち合わせの時間は夕方の6時


時間外では離婚届けは受け取ってもらえない事しらないんだ

わざと、教えてあげなかった


殴らないように


助手席ではなく、後ろの席に座った


約束通り車の鍵と現金を受け取ってから

離婚届けにサインをした


「出しに行くぞ」


ほら…やっぱり


バカみたい


警備員の人にまんまと断られて


明日私が提出する事になった。


「じゃあ」


「必ず出せよ」


「自惚れないでよ
別れたいのは私も同じなの。アンタなんかに未練なんかあるわけないじゃん」


今まで言いたかったセリフを言い捨てて

駅へ向かって歩いた

かなり離れた辺りで

「おーい」


「なに!?」


「やっぱり、いいや」

もう…その手には乗らない


「あっそう」


そのまま足早に帰った


翌日、車をディーラーに取りに行き


その足で離婚届けを提出して


石井さんとの8ヵ月間の結婚生活にさよならをした。