急いで鈴ノ木君の車に逃げ込んだ


喧嘩などしたことがないような鈴ノ木君は固まってた


「早く車出して!!」


慌てた鈴ノ木君は車の向きを変える時に

後ろのポールに気づかず、車の後ろの部分をぶつけてしまった。


「あっ…!」


ふとその声で前を見ると


まるで、映画みたいに


石井さんが鈴ノ木君の車のボンネットの上に覆い被さる形でしがみついてた。


私はとっさに


「そまま走って!!ふり落としなよ」


「えー!?出来ないよ」

「いいから早く!!」


結局、鈴ノ木君は車を走らせる事が出来なかった。


石井さんがボンネットから降り


運転席へ回った


「開けろ」


「…」


「開けろ!!」


「開けちゃダメだよ」

「うん…分かってる」

その間に私は携帯から


110番をかけた


「開けないと、この窓ブチ割るぞ!」


「嫌ですよ。開けたらまた、あなたは暴力を振るうんでしょ」


「じゃあ、その女降ろせ」


「ダメです。さっき殴ってたじゃないですか」


「お前惚れてるのか?」


「そういう事じゃないでしょ」


微かに震えながらも必死で


私を守ってくれていた。


ようやく、警察が到着した。


石井さんは急にいい人ぶったけど、酒臭いのと、鈴ノ木君の証言で


そのまま車で寝ることなり


私達はようやく家に帰れることになった。