そっと家のドアを開けた


ドアの音に気付いた春陽が…


私を出迎えてくれた

「ママ!」


いつの間にか、お喋りも上手になって


「春陽!」


いつものように春陽を抱き上げ部屋の奥に入った。


ベットに腰掛けてぼんやりとテレビを見ている悟史さんがいた。


「なあ…綾…」


「…」


「本当に、籍だけ一旦抜いたら直ぐまた俺ら一緒になれるんだよな…」


今の私達にはもう…

それしかなかった。

「必ずまた一緒になろうな」


悟史さんが泣いてる

悔しそうに


泣いてる


私も涙があふれてた

春陽はキョトンとそんな私達を見ていた。


悟史さんが離婚届けをテーブルの上に出した。


サインはもうしてあった。


泣きながら私もサインをした。


愛してる…


愛してるよ…悟史さん


でも、今その言葉を言ってしまったら…

この先


私達は本当に憎しみ合ってしまう…


そうして、私と悟史さんの5年間が終わった…


あんなにいつも一緒にいて


あんなに誰かを愛して


こんなに愛された日々は


きっともう…誰にも出来ない