「なんでまた、昼も夜も働いてんの」


石井さんが得意先の人と分かってか…


少し安心して、悟史さんの話しをした。

「借金いくら残ってんの?」


「まだまだ…」


「俺が払ってやろうか?」


「えっ?そんな」


「俺の女になれよ」


意外とおいしい話しなのかも知れない。

借金さえ無くなれば

また、悟史さんと笑って暮らせる…


この生活から抜け出せる…


「私でいいんですか?他にもっと若くて可愛い子がいる」


「綾がいい」


「分かりました」


「今日は先に帰るなよ」


そのまま、石井さんとの関係がしばらく続き


家には遅れがちな返済を催促する電話が度々来るようになって


逃げるように


朝帰りの日々が続いていた…


なかなか、石井さんは借金を返済してくれず


さすがに、騙されてる気がして来た頃
だった。


「綾…もう、店辞めないか」


「でも、そしたら」


「もう、いいから」


俺…自己破産するよ

「悟史さん…そしたら私にも」


「だから、綾も破産するんだよ」


同時破産…