必死だった私は成績を上げたくて、精一杯その客をつかもうと頑張った。


「お名前伺ってもいいですか?」


「石井真二…」


「綾です。」


「年は?」


本当は27だったけど、この店では25になってた。


だけど、なんでか石井さんには本当の事を話した。


成り行きも、全部…

悟史さんと同じ年だったせいもあって、話しやすかったのかもしれない。


見た目は、かなり太めで髪もだいぶ寂しくなってたけど、面白くてお金を沢山持ってた。


気に入ってもらおうと、一生懸命に可愛くした甲斐あって、沢山お金を使ってくれた挙げ句に次の予約をして帰った。


「頑張ったじゃない」

ママが店の片付けをする私に言ってくれた。


「はい…でも、次本当に来てくれるんでしょうか?」


「来るわよ。綾目当てにね」


「頑張ります」


「旦那は?どうした?仕事見つかったの」


「それが…」


「もう、辞めたら?そういう男は一生懸苦労するよ」


「はぁ…」


あんなに、お金なんかなくても


誰も私達を許してくれなくても


2人ならいいと思ってた気持ちを


私は、忘れかけようとしてた。