いつも2人で行っていたお店に入り、いつも注文していたメニューを頼んだ。


しばらく、見つめ合った後 早瀬さんが切り出した。


「良く、分かったね。俺の事」


「…色々捜しましたから」


「どうして?結婚…上手くいってないの?」


何だろう…まだ30分位しか会ってから経ってないのに、何かが違う。


「結婚?は…多分…」

「だから、俺に?」


「違います!本当はずっと早瀬さんの事が忘れられなくて…どうしても、彼を愛せない自分がいて…」


「俺なんて、そんな」

・・・・・わかった

今の早瀬さんは昔のような、自信と力強さがなくなってしまってる。


「私のせいですよね…でも、私も罰を受けました。大切なものを沢山失いましす」


「綾…」


「ん?」


「俺は本当は情けない男なんだよ…誰も幸せにする事も出来ないんだ…」


思わずテーブルの上に重ねていた早瀬さんの手のひらを握りしめた。


「綾…」


「何も…知らなかった…何も…ごめんなさい…」


「綾…」


「私もう、最悪な人間になってもいい…早瀬さんのそばにいたい!」


「お待たせ致しました」


店員さんが注文した食事を運んできた。

握りしめた手を離して、普通を装った。

「ごゆっくりどうぞ」

「食べようか」


「はい…」