木苺の棘

遠く・・・

寂れたバス停の傍に立ち
煙草を吸いながら携帯電話
で誰かと話す、巽の姿を
見つけた。

「・・・必要無い
 タクシー・・・」

私は駆け寄り、声も掛けずに
貴方の後ろから抱きついた。

「・・・を捕まえて
 戻る」

お腹の前で、きつく組まれた
私の腕に、貴方は煙草を
持つ手で、そっと触れる。

「ああ、じゃあ後で」

切れる通話・・・

貴方は、煙草を銜え
私の手を解き、振り返る。

私は、貴方を見上げて
問いかけた。

「タツミ
 今日は、同伴して
 くれるんでしょう?」