木苺の棘

ホテルの部屋で、敢さんは
血に染まった手を石鹸で
何度も何度も洗う。

ザー・・・

続いて、私も手を洗う。

静かな部屋に、水の音だけが
聞こえる。

貴方が、ゆっくりとコートを
脱ぎ、次にジャケットを
脱ぐと、シャツの腹部が
赤く染まっていた。

「やっぱり
 傷口が開いてるんじゃ・・」

「違う、これは、昨日の血痕
 
 怪我をしているのは
 俺じゃない
 
 痛むのは、昨夜の傷」

「じゃあ、手に着いた
 血は・・・誰の血?」

『アイツは組の連中に
 貶められた結果
 殺され、命を絶った
 ・・・・・・
 ああ、タツミを売ったのは
 組長だ』

「まさか・・・」

「そうだ
 あれは、親父の血・・・
 
 俺は、ついさっき
 親父、組長をナイフで
 刺し殺した」

「そんな・・・」

組長を殺した・・・