木苺の棘

敢さんはタクシーから降りる時
ポケットからお金を取り出して
私に握らせた。

「いいです
 お金なんて、困ります」

貰ったお金を差し出す私に
貴方は言う。

「取っとけよ
 大した金じゃない
 ここまでの料金だ」

タクシーを降りた、敢さん。

閉まるドア・・・

私は思う。

傷ついた貴方を一人には
できない。

「すみません
 私も、降ります」

本当は、あのままタクシーを
降りずに、漣の元へ帰るべき
だったのかもしれない。

その場に降り立つ、私に
貴方は驚いた顔をする。

走り出すタクシー・・・