木苺の棘

ただ、貴方は座席の背に
もたれ、冷や汗を掻きながら
苦しそうな表情を浮かべる。

まさか、昨夜の傷口が
開いてるなんて事、無いよね?

どうしよう・・・

今は、ホテルへ向かってる
場合では無い。

病院へ行った方が・・・

私は、辺りを見渡す。

不安な私に、貴方は言う。

「心配するな
 取って食ったりしない

 着いたら、お前は
 このまま家へ帰れ」

「えっ、でも・・・」

「俺なら大丈夫だ
 心配はいらない」

タクシーは都心から少し離れた
見るからに、ここはラブホテル
ですと言わんばかりのキラキラ
と輝く電飾の付いた建物の前で
停まった。