木苺の棘

悲しい瞳を隠すように
両手で顔を覆い
そのまま髪を掻き揚げる。

「レン?」

「お前
 何言ってんの
 
 冗談にならねぇ」

低い声で、そう呟いた貴方は
その場を立ち去る。

「レン、ごめんなさい
 私・・・」

漣の腕に触れる私の手を
貴方は振り払う。

「放せよ
 
 もう、やめよう
 
 俺達は一生、過去から
 八重から逃れられない」

貴方は、手を高くあげ
タクシーを停め
そして、乗車した。

私の事を一度も見ない
貴方の寂しげな横顔

私の言葉に
貴方は失望した。

もう、やめよう・・・

逃れられない・・・