木苺の棘

「タマキ、お前、大丈夫か?
 顔色が悪いぞ」

「ああ、大丈夫だよ」

撮影中の、彼女との絡みは
ほんの一度だけ・・・

過去を思い起こすこの曲調には
やはり、こういうシーンが
よく似合う。

学生服を着た彼女の手に触れ
見つめ合う・・・

見つめ合う・・・

これで終わる・・・

『レン・・・』

俺は何かに囚われたように
彼女の頬に手を翳し
愛しく彼女を見つめていた。

生きていてくれたという錯覚
が俺の瞳に涙を浮かべさせ
一粒の涙が頬を伝う・・・

撮影するスタッフ達も
皆、驚いている。

「すみません
 気持ちが入りすぎました」

そう言って
漣は笑ってみせた。