木苺の棘

「この人は、タツミの兄で
 敢(イサミ)、確か最近まで
 刑務所に服役していたはず
 ・・・そうでしょう?」

「ああ、一週間前に
 出所した」

刑務所・服役・出所・・・

「貴方が
 タツミのお兄さん?」

彼の持つ独特の雰囲気は
巽と、とても似ているけれど
正面から見た、彼の顔は
巽とは全く似ていない。

「俺とタツミ
 似てないだろう?
 
 当たり前だ
 アイツは、本妻の・・・
 俺は、愛人の子供
 似ても似つかない
 
 残念だが、俺に愛した男の
 面影を探しても無駄だぜ」

「イサミ、おあいにく様
 彼女はもう、タツミの事は
 吹っ切れているわよ
 
 この間なんて、今の男と
 手を取り合ってこの場所から
 逃げ出したのだから・・・」

「ツユカさん、あの時は・・」

頷きながら微笑む、露歌さん。