木苺の棘

叩いても、揺すっても

貴方の名を何度
呼びかけても

泣いて、縋って
頼んでも

貴方は、もう二度と
目覚めてはくれない。

少年のように
微笑みかけてはくれない。

『アリス』

優しい声を
聞かせてはくれない。

私は、叩く手を止めて
貴方の胸を優しく擦る。

「ごめんね
 
 痛かったよね?」

落ち着いた私を一人残し
病室を出て行く、ママ。

閉まるドア・・・

病室に、愛する男(ヒト)
と二人きり

私は、その胸に
そっと、抱きつく。

血の匂いに混ざり、香る
私の大好きな貴方の香り。

もう、二度と嗅ぐ事は
できない。