木苺の棘

貴方は、女性の肩に回した
手を解き、私なんかよりも数倍
も夜の街が似合う、その美しい
女性に何かを言った後
私の元へと歩いて来る。

私は、貴方から顔を逸らす。

「アリス
 こんな時間に何してる
 びしょ濡れじゃないか?
 何かあったのか?」

貴方の細く長い指先が
私の濡れた髪に触れようと
した。

「やめてよ
 他の女に触れた手で
 この私に触らないで」

睨みつける私の頭を
貴方は二度、優しく
撫でてくれた。

大好きな手・・・

「タクシー捕まえてやるから
 早く、家に帰れ」