そして、ついにこの日がやってきた。


空は澄み渡るような青空で、
太陽も大ちゃんの笑顔みたいに
きらきらと光ってる。


―トントン。


大ちゃんの部屋の扉を軽く
ノックしてみる。


「…寝てる、の?」


―ガチャ。


ドアを開けてみると、
案の定大ちゃんは、ベッドの上で
気持ちよさそうに眠っていた。


まるで、その寝顔に吸い込まれるように。


あたしはそっと大ちゃんの枕元に
座り込んだ。そして、ゆっくりと…






キスをした、





その瞬間、
あたしは自分でしてしまったことなのに
すごく動揺してしまった。


『どうしよう』頭に浮かぶのはそれだけで。


大ちゃんが寝てるってわかってても、
嫌われちゃうどうしようって。
頭の中がぐっちゃぐちゃに混乱してて。


「ごめんね大ちゃん、」


好きでもない女の子にキスなんかされて、
しかもあたしみたいな可愛くもない妹に。
大ちゃんが良い風に思うわけがない。


あたしが鼻をすすりながら泣いていると、


「ん、」


かすかなくぐもった声が聞こえて。


ほんの少しだけ顔を上げてみると、
そこには眠そうに目をこすっている大ちゃん。


その途端、とてつもない不安が押し寄せた。


あたしは気づいたときには大ちゃんの
胸に額をくっつけて繰り返していた。


『ごめんね』その言葉を。