大ちゃんは2-B
あたしは1-B
ちなみに高校生。

毎日一緒に下校するあたしたち。

今日もいつも通りに
大ちゃんのクラスに向かう。


*****


「大ちゃ~んっ」

ザワザワしてる2-Bの教室。

だけど、あたしの声に
大ちゃんは気づいてくれた。

「りおなっ…!」

「か~えろっ♪」

「りょーかい!」

そう言うと大ちゃんは
自分の机の横にかけてある
あたしと“おそろい”の
スクバを手にとった。

「いこいこ!」

大ちゃんが言う。

「うんっ」

ほんの少し急ぎ気味の大ちゃんを見て
あたしは、思わず笑みがこぼれた。

あたしなんかのために
急いでくれた―。

その事実が妙に嬉しくて。

あ~、こんなこと奈々に言ったら
またブラコンって言われるっ…!

そんなことを考えながら
階段を降りているせいで、
あたしは階段を一段踏み外してしまった。

ぐらっとふらつく体。

そんなあたしを支えてくれたのは、
…大ちゃん―。

「あっぶね~…」

「ごめんっ」

「気をつけろよ???!考え事してたのか?」

若干口調が荒い大ちゃん。
そりゃそうだよね…。
あたしの不注意が原因で
こんなことになっちゃったんだもん。

「う゛~…はい」

唸りながらも、
仕方なく素直に返事をするあたし。

「も~…!りおなのせいで
 心臓縮みそうだったし!」

そう冗談を交えて、
あたしに笑いかける大ちゃん。

ほらね、やっぱり…
すごく優しい―――。