乙姫が作ることにしたのは卵焼き――味付けは砂糖


「そういえばね、昨日言うの忘れてたんだけど…お昼ごはん美味しかったよ」

「…そうか」

乙姫とは目を合わせずに答える青の耳元は微かに赤く色づいている

「………悪かった。」

唐突に紡がれた言葉に乙姫は目を丸くして青を見つめる

一体なんのことだろうか――疑問符を浮かべるが、青は目線を下げたまま続ける


「……俺は人間が嫌いだ。だが、それはお前には関係のないことだった。お前が“巫”であることも――――だから、お前を否定するような態度を取ってしまったことは、すまなかった」

「…………」

何故、彼がそんなことを言い出したのかは分からない

けれど、言葉からは誠意が感じられる。
彼が謝ってくれているということは、認められていると思っていいのだろうか

ただ、彼の言う“人間が嫌い”という言葉からは悲しみに似たものが感じられる


「……きっと…いろいろ、あったんだよね……」


「……」

乙姫の言葉に青はただ悲痛そうな表情で目を閉じた