青と虎太郎のを見送った乙姫は台所へ行き水に浸けられている食器を見て腕まくりをした。

外気に触れた肌は冬の寒さにわずかに鳥肌が立った。

蛇口を捻って出した水はまだ冷たく、温かくなるのにしばらくかかりそうで、流れていく水をもったいないなと思いながら温かくなるのを待った。

指先で水が適度な温度になったのを確認して食器を手に取る。

食器を洗いながらも乙姫の頭の中を占めていたのは華紅夜の口から語られた“約束”だった。