友空物語

翔一「お父さん 車で行かないの??」


父「うん 車じゃないんだ

あの山に桜があるんだ」と
山を指さしながら言って

翔一は
山の中に
桜があるなんて聞いたことがない

翔一「山に本当に桜があるの??」


父「いいから、お父さんを信じなさい」

父は
翔一の手を引いて
山に向かって歩き出した


山に着くと
父は山道を歩いて山奥に向かった


父は
整備された山道を歩いて行った

山道を少し進むと


父は
途中で
山道ではない
草木の生い茂った道に入って行った


翔一は
父を見失わないように
追いかけた


山道から離れた道なので
高い草を掻き分けて進んだ


すると
大きく広い場所に出た


鳥の鳴き声が
耳に心地よく

日差しも木々の葉の隙間から

翔一を照らした

父「翔一、ほらあれを見てみろ」と
言って指をさした


翔一は
父が指さしたほうを向いた


そこには
一本の大きく太い
花びら満開の桜の木があった


何故この桜は
花びらが散っていないのかわからないが

多分
他の木々に囲まれているので
昨日の
雨の被害が小さくて済んだのだろう


翔一は
その桜を見て自然と笑顔になった


父「翔一
お父さんの言った通りだろう」と
言ってニコッと笑った


翔一「うん」
翔一もニコッと笑った

父「これは
お父さんと翔一だけの秘密だ」と
言って小指を差し出した


翔一も
父の指の
半分くらいしかない
小さい小指を差し出しゆびきりをした


父「まぁお前に大切な人が出来たら

その大切な人とここに来るんだ

まぁまだわかんないか」と言って

翔一の頭をポンッ撫でた



父は
腕時計を見て

父「マズイ 翔一

母さん達が帰ってくる前に

お父さん達も帰ろう」と言ったので
帰ることにした


家に着くと
すでに母と麻里姉と麻友が
帰って来ていて


母「どこ行ってたのよ」と聞いた


すると

父「な、内緒だよな 翔一」と言って

父は翔一を
見てニッと笑ってごまかした

母「どこに行ってたか知らないけど

洗濯物入れといてって言ったでしょ」


父「はいはい わかったわかった」と
言って洗濯物を入れに行った