友空物語

翔一は
胸の上に乗った
桜の花びらを手に取って


仰向けになったまま

手を伸ばして
ぼ~っと眺めた


翔一は
桜の花びらを見ていると
思い出が蘇ってきた






翔一が幼稚園の時
家族で
お花見に行ことになってたんだけど


そのときも
確か 前日に雨が降って
お花見が出来なくなって
俺が大泣きしたっけ………


結局
お花見は
中止になって


母と麻里姉と麻友は
三人で買い物に行って


家には
翔一と父の二人だけになった


翔一は
お花見が出来なくなって
「やだ、お花見したい」と大泣きした


翔一が部屋で泣いている所に


父「翔一 桜を見に行くぞ」と言って
部屋に入ってきた


翔一「もう、
お花見なんて二度と行くもんか~」と
泣きながら言った


父「いいから
騙されたと思ってついて来い」と
一階に下りて行った


翔一は
鼻をすすりながら一階に下りた


父は


リビングの電気を消したり
ガスの元栓が閉まっているか
確認していた


父は
翔一が下りて来たことに気がつくと


父「ほら 涙と鼻水を拭いて」と言って
ハンカチを差し出した


翔一は
ハンカチで涙と鼻水を拭いた


父は
玄関で靴を履いて
先に外に出た


翔一も靴を履いて外に出た


父は
家に鍵をかけた


父は
家の門を閉め
山のほうへ歩き出した