「は、ぃ?」
「私・・・あなた見てると自殺する気が起きないんですよ」
 
 ユウは唖然として私を見る。
 
 まったく、本当のことを告げているだけだというのに。

「・・・えーと・・・」
「私、一人暮らしで寂しがりやなんですよ」
「その・・・」
「なんですか?」
「キミは女で俺は男。分かる?」
 ちょっと赤くなった顔。

 ふむ、兄さんに似てるとか抜きにしてさ。これはちょーっと面白いんじゃないかい?

 この死神、からかって遊んでみたい。

 そんな凶暴な感情。

 きっとそれは、死ぬ努力より楽しそうで退屈を紛らわせそうだから。


「・・・そんなの、どうでもいいですよ。バカじゃないんですか?」
「ぇ」
「私はね。あなたをからかって遊びたいの。いい?金輪際自殺なんてしないと誓うからあなた私の家にきなさい」
「・・・わ、わかりました・・・」


 暑い暑い夏のある日。

 同居人が死神になった。