「深華、今日は中庭の牡丹の花を見に行こう。あの花は貴方のように艶やかな美しさがある。あなたもきっと気に入ってくれるはずです。」
静かな月のように笑う李影様に妾も笑みを返すが、心から笑えることはない。
中庭に行くと牡丹の花が咲き乱れていた。
美しい牡丹の花はどこか寂しそうに見えた。
それはきっと李影様が私に似ているなどと言われるから。
この牡丹も妾のように見かけを見せかけ、悲しみを持っているのだろうか。
風に揺られる牡丹の「私を見て」という声が聞こえてきそうだ。


「真に美しい牡丹の花ですね・・・・・・・・・。」

「そうでしょう。この牡丹は悠凛という少女が育てているのですよ。」

少女の名前を妾は良く知っている。
悠凛殿、それは皇帝がただ一人愛している少女。
妾とは違い、素直そうで可愛らしい少女だった


「悠凛殿・・・・・・・。
その方はこんなに美しい牡丹を咲かせられるのですから心も美しい方なのでしょうね。」



妾の答えに皇帝は優しく微笑んでくださったが、私は自分の卑屈さに心底嫌気が指した。
妾は皇帝の愛するかの人に嫉妬をしているのだ。