RED×HEAVEN

マユさんが触れているからアクセルペダルも車そのものも消す事は出来ない。



かと言って、俺自身は何にも触れられない。



マユさんの足をペダルから外す事は出来ないのだ。



向かう先は海。



ダメだ。



止められない。



どうする?



どうする?



海はもう間近に迫っていた。



俺がどんなに慌てても、車の速度は変わらない。



ゆっくりゆっくりと暗い海へと引き寄せられていくだけだ。



俺は、何も出来ないのか。



あれだけ他人の命を救ってきたのに、身近なこの人を救えなかったら意味がない。