重力。



男の足元から天井までの範囲内の重力を消した。



だから男は浮き上がり、ついでに頭を打った。



それはまぁ、計算外だったけど。



男が目を覚まさないのを確認してから、すぐに重力を元に戻した。



男は何にひっかかるわけでもなく、そのままドサリとコンクリートの地面に落下した。



コンクリートでまたどこかを打ったみたいだが、気にしない。



女はその流れを不思議そうに眺めてはいたが、男が失神したのを知ると、すぐに逃げて行った。