両手で顔を覆って泣くユリカちゃんのワンピースが揺れていた。



きっとユリカちゃんの恋は憧れだった。



自分を偽ってでも手に入れたい憧れの存在だった。



だけどそれじゃいつか苦しむ。



欲しいもののために、一生自分を偽って生きられる程人間は強くない。



だから、残酷なようだけれど、誠二が言った事はユリカちゃんのためで、ユリカちゃんを大切に思うが故で、ユリカちゃんが幸せになるための道標なんだと思う。



ユリカちゃんへの誠二の愛情がどうか歪まずに届きますように。



ユリカちゃんもいつか、偽らない自分をぶつけられる相手に出会えますように。



ユリカちゃんぐらい可愛いければ、きっと引く手数多だろう。



アタシと違って…



ぐすん…。