嫌な胸騒ぎに、ナツコの中で途端に不安が押し寄せて来る。
この感じは…知っている。
お父さんがガンだと告知された時だ。
あの時の不安と早焦感に似ている。
不安な気持ちを抱えながらナツは通話ボタンを押した。
どうか嫌な事が起こりませんように。
お茶目な母のドッキリでありますように。
「もしもし?」
嫌な予感が駆け巡る中、恐る恐る伺うような口調で電話に出た。
「あ、ナツコ?良かった起きてたのね?あのね、お母さんまだ病院に居るんだけどね?」
母の声はいつも通り力強かったけれど、どこか焦っているようだった。
「うん、まだ仕事中でしょ?」
仕事中に母から電話が来るなんて滅多に無い事だ…。
だからこそ、余計に心配が募る。



