あの時の嫌な気持ちを思い出す…
不安そうな母の顔が頭を過ぎる…
きっと何かの間違いだって、嘘に決まってるって、何度もカミサマに祈り続けたあの時の気持ちが蘇りそうになる。
ユリカちゃんが何か言った訳じゃないのに、勝手に血の気が引きそうになる感覚を覚えて、思わず自分で自分を抱きしめそうになると…
『ユリカ話は後で聞く、ナツは春馬と先に帰ってろ。』
そう言って、誠二に強く腕を捕まれた。
捕まれた腕のその力強さにハッとして、握られた腕からジンジンと熱が広がって行くように少しずつ感覚が戻って来た。
心に嫌なドキドキを抱えたままアタシが顔を上げると、いつの間にか隣に居た誠二が力強い目でアタシを見つめていた。
まるで、大丈夫だとでも言うように。
『行くぞユリカ。』
そしてポンとアタシの頭を叩くと、まだ突っ立ったままのアタシ達を残して、誠二とユリカちゃんは大学を後にした。



