泣きもしなければ、喋りもしないアタシを見て、 誠二はただ一言 『バカ。』 と言った。 父が死んだ日に、こんな時にバカって言うなんて、アタシの中で怒りや、やるせなさや、悲しさがごちゃごちゃに渦巻いて、 気づけば誠二を殴っていた。 「バカじゃない…。」 震える手を握り締めて、涙をボロボロに流して、誠二を睨みつけた。 父さんに言われた事を守れなかった… 言い合うよりも先に手が動いてしまった… 後悔と怒りと自責の念でいっぱいになるアタシを、 誠二はいつの間にか抱き締めていた。