思い出した、この人は確か西條先輩だ。


いたいた、かなり有名な投手だったと思う。


「いい加減な事言うなよ。俺は佐川監督に言われて、千比絽が入部出来ない事を必死に話してると言うのに。」


西條先輩は笑いながら言った。


「監督が千比絽を野球部に入れて良いと思うならそうしろと。その代わり西條が千比絽の面倒を見ろといわれたけどね。」


え、本当に。


西條先輩は良い人だ。


なんて、感心してる場合じゃないのか。


「俺が必死に説得してると言うのに。」


イケメンは笑ってもイケメンのままだった。


西條先輩なら何とか落とせるかも知れない。


「西條弘也先輩、私を野球部に入れて下さい。どんな辛い練習にも耐えてみせます。」


又土下座した。


こうなったら、土下座攻撃してやる。


入部出きるなら、土下座なんか平気だ。


「千比絽の気持ちは分かったから安心しろ。俺が千比絽の野球部入部を認める。」


西條先輩が天使に見えます。


西條先輩が大好きになりました。


「俺はどんな事になっても、一切責任は取らないからな。西條おまえが最後まで千比絽の面倒をみろよ。」


小山主将が部室から出て行った。


西條先輩と二人切りなってしまうと、何から話して良いのか分からない。


西條先輩、何か話して下さい。


かなり気まずくて、もう一度深く頭を下げた。


ひたすら頭を下げ続けていたから、どのタイミングで頭を上げたらいいのか、分からずにいた。


足も痺れて首も痛い。