考え込むレイをエドガーは不思議そうに見つめる

そこへ―――

「エドガー様。カナンを連れて参りました」

アイルの声が扉の向こうからエドガーの耳に届いた

「入れ」

「失礼致します」
「失礼致します」

二つの声が聞こえるのと同時にゆっくりと扉が開いた

その声の持ち主のアイルと一人の女性がその後ろからついて来る――年齢はレイと同じくらいのように感じられる

「エドガー様。用とは何でしょうか」

彼女は下げていた頭を上げ、目の前の主人に問い掛ける

「カナン、お前に女神…いや、レイの世話を頼みたい」

「レイ…?」

話の見えないカナンは首を傾げる

「あの…レイは私です………」

今までエドガーの姿で隠れていたレイが顔を出すとカナンは驚きのあまりに手を口に当て呟いた

「女神様……」

彼女もそうだがエドガーも自分を見て女神だと言う

レイは不審そうに二人を見ながら疑問符を浮かべる

「レイ」

不意にエドガーに名前を呼ばれ、視線を向ける

「これからお前の身の回りの世話をするカナンだ」

エドガーの紹介共に頭を下げるカナンにレイもすかさず頭を下げる

「レイです」

先程の会話で苗字というものが通じないことがわかったので、あえて名前だけ名乗った


そして、改めてエドガーの言葉を反芻してみる

“身の回りの世話”


「エドガーさん、身の回りの世話って何でしょう?」

思ったままの疑問をエドガーにぶつけるが、口を開いたのは彼ではなく彼の側近、アイルだった


「娘!!エドガー様に対しその口の聞き方はなんだ!この方は―――」

「アイル、やめろ」


エドガーの冷たい声がアイルを制した