「落ち着けって、見た目の話だろ!」


「あたしは見た目の説明なんか求めてねぇよ!
内面の話しろ、紛らわしい!」



誓耶の力が抜けた瞬間を突いて、慎吾がソファーに引き倒す。



倒れた誓耶はそれでも慎吾を睨んだ。



「馬鹿。」


「どっちが馬鹿だ。
心配すんな、俺は俺でちゃんとやってっから。」




…だから、こないだ家賃の支払いがキツイってぼやいてただろ。



呆れてため息が出た。



家賃に困る大人ってどうだ。



「心配させない行動とれよ馬鹿。」


「信頼しろ馬鹿。」


「だから、信頼させるような行動とれ馬鹿。」



延々と続きそうなので、慎吾の口を塞ぐ。



誓耶は脱力して、寝転んだ。



「まぁ、いいや。
で、同僚は?
またヤクザ?」


「いーや、そんな感じのも結構いるけど、お坊ちゃんっぽいのもいる。」



またヤクザかい!と突っ込みたくなるのを抑えて、続きを聞く。



「俺と歳が近い奴も結構いるな。
変わり者が多いけど。」


「へぇ。
お前も十分変わり者だけどな。」


「まあ、黙って聞け。
その中に大神ってのがいてな、不思議な奴なんだ。」



慎吾がわくわくとした表情をするので、誓耶は思わず身を乗り出した。