「お疲れ~。」



結局田中と一緒に仕事を終わったのは、深夜0時近くだった。



田中は偉槻より早くに出勤していたのでさすがに疲れた様子だったが、飲みに行こうと偉槻を誘った。



「オンナノコも一緒だぜ?」



偉槻の肩に手を回し、田中はしつこく誘う。



「いい。
俺は興味ない。」


「そう言うなって。
俺、お前連れてくって約束しちゃったもん。」



偉槻は立ち止まって田中を睨んだ。



「お前、何勝手なこと。」


「いいじゃん。
前から呼んでくれって頼まれててさぁ。」



偉槻に言わせれば知った事かである。



田中は女に夢中だが、正直偉槻は興味ない。



高校で散々な目に遭った。



容姿は自分で言うのもなんだが上位ランクに入り、身長も180cmは越す。



身長が高いと、これまた女受けが良い。



この容姿のせいで何度先輩に恨まれたことか。



お陰で偉槻の人柄も関係してるせいもあるのかもしれないが浮いていて、平穏な学校生活は送れなかった。



高校時代、わずかにいた友達も偉槻が進学せず趣味に逃げたせいもあり疎遠になり、今の友達はバンド仲間やバイト仲間だ。



田中はその両方を兼ねている貴重な友達なのだが、かなり軽いところが欠点だ。