なんであんたがそんなこと言うんだよ。



あたしの何を知ってんだ。



…匡は彼女いるのかな。



でも、いたらこんなことしないよな。



「痛かった?」



匡の指が、髪を梳く。



「ちょっと乱暴だった?」



優しい声色。



でも、全然優しくない。



どうしてそんなこと言うんだろう。



あたしのこと気遣ってくれてないなら、別にそんな言葉吐かなくても。



「今日ね、両親帰ってこないんだぁ。
寝かせないよ。」



この前恥かかせてくれたお仕置き。



耳元で、匡が囁く。



無感情にそれを聞いた。



いいよ、もう。



それであんたの気が済むんなら。



イツキに変なちょっかい出さないなら。



様子を窺っていると、どうも彼に会いに行っているわけではないらしい。



ただ、誓耶をいたぶるにとどめている。



なら、安心…。



頼むから、あの人に迷惑をかけないで…。