階段を上がり、素早く部屋に入る。



部屋にいる従兄の匡(タダシ)には気付かれたくなかった。



何故って…。



誓耶が制服を脱いでいると、バンッとドアが開いた。



「お帰り誓耶。」


「ちょっと!」



慌てて胸元を隠す。



上半身下着一枚の誓耶に構う様子もなく、匡はベッドに座った。



「毎晩毎晩遅く帰ってきてさぁ。
何やってんの?」



冷たい声。



匡は立ち上がって誓耶の顎を掴む。



「男と遊んでんの?」



振り払おうと頭を振る。



匡が誓耶の頬を打った。



「だから、いつも言ってんじゃん。
俺に逆らわないでって。」



頭を掻き毟るように掻き、匡は誓耶を睨む。



誓耶は目をそらしてTシャツを着た。



「出てって。」


「ここ誰んち?」



いつもこれだ。



好きでここに来たわけじゃないのに。



兄ちゃんと二人なら…。



「こっち来いって。」



腕を掴まれる。



「放せ。」


「黙れ。
なんでお前は男みたいな言葉を使うんだよ。」



これもいつも言われる。



あたしがどんな振る舞いをしようとあたしの勝手だろ。



「ま、いいや。
脱いで、さっさとしたい。」


「やだよ。
あたし達いとこだよ。」


「だから何?
快感にいとこも何も関係ある?」



匡は独自の理論を吐く。