手が真っ赤に染まる。



駄目だよ偉槻、出血したら、死んじゃうよ。



お願い、止まって…!



どこからか救急車のサイレンが聞こえた。



人だかりが分かれて、ストレッチャーを押した隊員がやってきた。



「はい、退いて。」



呆気なく、誓耶は引っぺがされる。



「お知り合いですか?」



訊かれて、誓耶は懸命に頷く。



向こうも様子からして感じ取っていたらしく、どうぞとすぐに同伴を進めてきた。



が、そこに登場したのは茉理子だ。



戸惑っている間に有無を言わさず誓耶を押しのけ、先に乗って行ってしまった。



呆然と、誓耶は置き去られる。



その頃には、野次馬も散り始めていた。



待って、置いてかないで…。



偉槻と離ればなれにしないで!



どこ行ったんだろ。



どの病院だろう。



この辺なら、中央病院か。



誓耶は適当に当たりをつけて、走り出した。



偉槻のところに行きたい。



何としてでも、一人にはしないから。