呼吸が激しくなる。



誓耶はとうとう絶叫した。



しかし、誰もそんな誓耶を気に留めない。



もう周りは事故に気付き、慌ただしくなっていた。



誰かが救急車と怒鳴っている。



誓耶はぺたりと道路に座り込んだ。



どんどんと人だかりができて、偉槻が阻まれて見えなくなっていく。



誓耶はこのまま偉槻がどこかへ行ってしまうようなきがして怖くなった。



這うようにして走り出す。



人を力いっぱいかき分けて、偉槻の傍らに膝をついた。



「偉槻…ッ!」



端正な顔を苦しそうに歪めたまま、偉槻は目を開けない。



「偉槻、偉槻!」



しがみつくようにして揺さぶっても、まったく反応を示さなかった。



どうして!?



偉槻、お願いだから目ぇ開けてよ。



怖いよ、偉槻。



このまま死んじゃうなんて、ないよね?



誓耶は偉槻を呼び続けた。



茉理子は唖然として、偉槻を見つめている。



誓耶は泣きじゃくりながら、偉槻を揺さぶった。