偉槻はいらいらと言った。



「なんでいきなり。」


「思い当たる節はねぇのかよ。」



言われて考えてみる。



慎吾はその間も偉槻を睨みつけていた。



「ないな。」



言うと、いきなり慎吾は殴りかかってきた。



間一髪拳を避けながら、偉槻はとうとう叫んだ。



「慎吾!」


「避けんなよ馬鹿野郎!」



誓耶から喧嘩は強いと聞いていただけある。



慎吾は素早い動きで偉槻を狙ってきた。



「いい加減にしろ!」



なんだなんだと、同僚が集まってきた。



偉槻はちらりとそれを見、慎吾の拳を捕まえる。



「っくそ。」



慎吾が顔を歪めて腕を引き抜こうとする。



偉槻はそれをさせまいと力を込めた。



「っんでそんなに怒ってんだよ。」


「自分の胸にきいてみろ!」


「だから、覚えねぇっつてんだろ!」



力に任せて、慎吾を投げ飛ばす。