胡蝶蘭

「偉槻。」



ふと、聞きなれた声がした。



振り返ると、



「健…。」



驚いて、足を止める。



「お前、なんでここに…。」


「なんか、偉槻の顔見たくなった。」



ニッと笑って、健は歩いてくる。



「それと、誓耶ちゃんにも。」



いるの?と健は店内を見渡した。



…今、一番聞きたくない名前。



偉槻はぶっきら棒に言った。



「別れた。」


「は?」



正確にはまだわかれていないが。



別れるつもりだ。



「おま、なんて?」



信じられない、と健は笑った。



「だから、もう俺とあいつは他人。」


「お前、正気か?」



どうした、と健は偉槻を引っ張って近くの椅子に座らせた。



「俺、仕事中…。」


「関係ねぇ。」