胡蝶蘭

「置いてかないでよぉ!」


「悪いって。
朝飯買に言ってた。
寝てる間にと思って。」


「行かないでよ!」



悪かった…。



謝るから泣き止んでくれ…。



誓耶は痛いほどに偉槻に抱きついた。



「まったく、こんなに身体冷やしやがって。
ベッド行くぞ。」



コンビニの袋を手に下げ、誓耶を胸に抱え上げる。



誓耶はまだ収まりそうにない。



ひっくひっくとしゃくりを上げながら、偉槻を罵っていた。



「ほら、俺もう帰ってきたから。」


「もう行かないで。」


「行かねーよ、行くとこねーよ。」



枕元に袋を置いて、布団に入る。



「怖かった…。」


「悪い。
な、泣き止め。」


「そうしようとしても出来ない~。」



言いながら誓耶はまだ泣いている。



そんなに心細かったか?



偉槻は子どもの頃から独立心の強い子どもだったので風邪を引いたときもそんなに母親が恋しかった記憶はない。



いまいち誓耶の気持ちがわからなかった。