胡蝶蘭








首尾よく信号も青ばかりで、かなり早く帰ってこられたと思う。



偉槻はまた1段飛ばしで階段を駆け上がった。



あいつ、起きてるのかな。



頼むから寝ててくれよ。



鍵を開けるのももどかしい。



偉槻は力任せに鍵をねじ込み、捻った。



中に飛び込むようにして入ると、誓耶の泣き声が聞こえた。



嘘だろ…!



靴を吹っ飛ばすように脱ぎ捨て、慌てて玄関に上がる。



誓耶が床に座って泣いていた。



「おま…。
なんでそんなとこにいんだよ。」



身体冷えるだろ!?



袋を投げるようにして置き、誓耶の前に膝をつく。



泣きじゃくる誓耶を抱きしめた。



「もう、お前は。
悪かった、泣きやめ。」



な、と涙を拭ってやる。



誓耶は腕の中で暴れ始めた。



「なんで!?
なんでどっか行くの!?」



バシバシと偉槻の胸を拳で叩く。