胡蝶蘭

そして、そのまま夜が明けた。



いつの間にやら、薄いカーテンを突き抜けて朝日が差してきた。



「朝か…。」



ひとりごちて、伸びをする。



背骨がバキッとと嫌な音を立てた。



偉槻は顔をしかめて身体を捻る。



隣で誓耶はすやすやと眠っている。



ついさっき起きたばかりだからもう少しは大丈夫だろう。



さて、と。



朝飯どうするかな。



いつものことだが、冷蔵庫は空っぽ。



情けないがビールと酎ハイと卵くらいしか入っていない。



近くのコンビニにでもひとっ走りするかな。



と考えたが、こんな状態の誓耶を放置するのは心が痛い。



しかし、起きてからでは余計に寂しい思いをさせる。



今、誓耶を外に出すという選択肢はないので、偉槻が買ってくるしかない。



寝ている間にさっと行ってくれればいいのだが…。



運に賭けるか。



そうと決まれば、善は急げ。



偉槻は誓耶を起こさないように細心の注意を払って布団から出た。



傍に置いてあった財布を引っ掴み、ダウンを着る。