胡蝶蘭

男、と時から嫌な予感がしていた。



そしてそれは、十中八九あたるだろう。



頼むから、無事でいてくれ。



俺のせいで、誓耶にこんなトラブルに巻き込んでしまった。



後悔が嵐のように襲ってくる。



誓耶、どこだ?



近くのホテル街にまで足を運び、訊いてみたが誓耶らしき人物の目撃情報は得られなかった。



この地区じゃない?



それか、男の家まで連れ去られたか?



誓耶のケータイは残された鞄の中からみつかった。



鳴らしても意味はない。



警察に届けても、GPSは使えない。



お手上げだ。



走り回って探すしかない。



偉槻は切れた息を整え、大声で叫んだ。



「誓耶ぁ!!!」



夜に迷惑だと叱られそうだがそんなこと構ってられるか。



叫んだところで誓耶が出てくるわけでもないが、叫ばずにはいられなかった。



頼む、誰か助けてくれ。



誓耶の居場所を、教えてくれ。



せめて、偉槻が茉理子の住所や電話番号を知っていればよかったのに。



なんの情報もない。